戸建て?マンション?筋交い?LGS?後悔しない間取り変更のための「間仕切り壁の撤去」のすべて:構造別の判断ポイント
「今の間取り、なんだか使いにくいな…」「もっと開放感のあるLDKにしたい!」
そうお考えのとき、まず頭に浮かぶのが間仕切り壁の撤去ではないでしょうか。壁を取り払うだけで、住まいの印象は劇的に変わります。しかし、この「壁の撤去」は、単にハンマーで壊せばいいというものではありません。
私は長年、数多くのリフォーム・リノベーション現場に立ち会い、お客様の理想を形にしてきました。現場の酸いも甘いも知る、”たたき上げ”のインテリアコーディネーターとして、この記事では、間取り変更を成功させるための壁撤去の重要ポイントを、戸建て・マンションの違いから構造の種類、そして注意点まで、余すところなくお伝えします。
あなたの家の壁は、本当に撤去できるのか?
まずは、そこから一緒に考えていきましょう。
1. 現場を知る者が語る!「壁の撤去」の大きな壁とは?
「この壁、取っちゃって大丈夫?」—お客様から最も多くいただく質問です。
答えは「ケースバイケース」です。壁には、ただ部屋を区切るだけの役割だけでなく、建物を支えるという非常に重要な役割を持つものがあります。これを構造壁(耐力壁)と呼びます。
構造壁を勝手に撤去してしまうと、建物の耐震性や強度が著しく低下し、最悪の場合、倒壊のリスクすら生じます。だからこそ、壁の撤去は、建物の構造を正確に把握することから始まるのです。
1-1. 戸建て住宅の場合:特に警戒すべき「筋交い」の存在
戸建て住宅(特に木造軸組工法)のリフォームで最も注意が必要なのが、撤去したい壁の中に筋交い(すじかい)や構造用合板といった耐力要素が入っていないか、という点です。
🏡 筋交いとは?
柱と梁(はり)の間に斜めに入れられた補強材のことです。地震や風圧などの水平方向の力に対抗し、建物の変形を防ぐ重要な役割を担っています。
【現場での判断ポイント】
- 図面の確認: 建築当初の設計図(構造図・立面図)で、その壁が耐力壁として設計されているかを確認します。
- 壁内部の調査: 図面がない場合や確信が持てない場合は、壁の一部を開口して、筋交いの有無を目視で確認する「破壊検査」を行います。
💡 現場からのアドバイス: もし筋交いが入っていた場合でも、全く撤去できないわけではありません。撤去した壁の耐力分を、別の場所に新たな耐力壁を設ける、あるいは太い柱や梁で補強するなどの構造補強を行うことで、間取り変更を実現できる場合があります。ただし、この補強には高度な構造計算と技術が必要なため、専門家(建築士)の判断と設計が必須です。

木造戸建て住宅間仕切り壁筋交い残しでの解体撤去施工例
2. マンションの場合:下地の種類で大きく変わる作業内容とコスト
マンションの場合、戸建てとは異なり、建物を支える柱や梁、界壁(隣戸との間の壁)はコンクリート(RC造)でできており、基本的に撤去できません。
私たちが撤去対象とするのは、主に専有部分の間仕切り壁です。マンションの間仕切り壁は、主に以下の2種類に分けられます。
2-1. 木下地(もくしたじ)壁:比較的撤去しやすい
最も一般的な間仕切り壁です。
🌳 構造・特徴
- 柱・間柱(まばしら)といった木材で骨組みを作り、その両面に石膏ボードを貼り、クロスなどで仕上げています。
- 内部には、電気配線や断熱材などが収められています。
【撤去のポイント】
- 撤去は比較的容易で、撤去後の補修も比較的シンプルです。
- 音の面では、軽量鉄骨下地よりも比較的静かに作業できる傾向があります。
- 構造的な心配は少ないですが、撤去後の**床や天井の補修(壁の厚み分を埋める作業)**は必須です。
2-2. 軽量鉄骨下地(LGS)壁:オフィスビルのような構造
特に築年数の新しいマンションや、耐火性能を求められる箇所に使われることが多い構造です。

🏗️ 構造・特徴
- Cチャンネルと呼ばれる薄い鉄骨(軽量鉄骨)のフレーム(ランナー、スタッド)で骨組みを作り、石膏ボードを貼って仕上げています。
- 耐火性や強度が高く、遮音性能を求められる壁にも使われます。
【撤去のポイント】
- 木下地に比べ、フレームが金属のため、撤去時の騒音が大きくなりがちです。マンションリフォームでは、この騒音対策と近隣への配慮が非常に重要になります。
- 撤去後の廃材(金属)の処理も、木材とは異なります。
- 撤去自体は可能ですが、工期やコストは木下地よりわずかに高くなる傾向があります。
3. 構造以外にも!撤去前に絶対に確認すべき3つのこと
「構造的にOK!」となっても、すぐに壁を壊し始めるのは早計です。経験上、多くのトラブルは、以下の3点の見落としから発生します。
3-1. 内部の配線・配管:生きたインフラを傷つけない
撤去する壁の中には、必ずと言っていいほど以下のものが通っています。
- 電気配線: コンセントやスイッチ、照明への配線。
- 給水・給湯・排水管: 特に水回り(キッチン、トイレ、洗面)に近い壁。
- ガス管: ガスコンロや給湯器への配管。
- 換気ダクト: 換気扇などからのダクト。
これらのインフラ設備を、壁撤去に伴ってどう移設・処理するかの計画が最も重要です。撤去後に**「コンセントをどこに設けるか」「キッチンから出る排水管をどう隠すか」**まで、すべて事前に設計します。
3-2. 天井と床の処理:壁の跡形を消す技術
壁を撤去すると、その壁があった場所に**「壁の厚み分の跡」**が、床と天井に残ります。
- 床: 既存のフローリングやカーペットを張り替えるリフォームであれば問題ありませんが、部分的に残す場合は、壁の跡を新しい床材で埋める作業が必要です。
- 天井: 壁沿いに照明や点検口があった場合は、その穴を塞ぎ、天井全体を補修して一体感を出す必要があります。

↑最低限での床の補修はこんな感じになります。
3-3. 火災報知器と換気の確認
壁がなくなったことで、部屋の区画が変わります。
- 火災報知器: 法律に基づき、新たなLDKの広さや配置に合わせて、火災報知器の位置や数を変更しなければならない場合があります。
- 換気: 部屋の広さが変わることで、換気量や空気の流れが変わります。特にガス機器を使用する場合は、必要な換気量が確保できるかを確認する必要があります。
4. 施工事例:壁撤去で実現した理想の空間
実際の現場では、壁の撤去がどのように住まいを変えたのでしょうか。
4-1. 事例:閉鎖的なキッチンから開放的なLDKへ(マンション)

- 施工前の課題: 壁で完全に区切られた独立型キッチンで、料理中に家族との会話ができない。採光が不十分でLDK全体が暗い印象。
- 行った作業: キッチンとダイニングを区切っていた木下地の間仕切り壁を全撤去。
- 効果: 閉鎖的なキッチンが開放的なアイランド型に。窓からの光が奥まで届き、空間全体が明るく広々とした印象に生まれ変わりました。お子様の様子を見ながら料理ができるようになり、家族のコミュニケーションの中心となりました。
4-2. 事例:使わない和室を活かす(戸建て)
- 施工前の課題: LDKに隣接する和室が物置状態。LDKが手狭に感じていた。
- 行った作業: LDKと和室の間仕切り壁(構造壁ではないことを確認済み)を撤去し、和室の床をLDKのフローリングと統一。
- 効果: 約20畳の広々としたワンルーム空間が出現。以前の和室部分をスタディコーナーとして活用するなど、生活スタイルに合わせたフレキシブルな使い方が可能になりました。
5. 経験豊富なインテリアコーディネーターにお任せを!
間仕切り壁の撤去は、単なる工事ではありません。それは、あなたの暮らしの未来をデザインする行為です。
戸建ての筋交いの見極めから、マンションのLGSの騒音対策、そして配線・配管の緻密な計画に至るまで、成功の鍵は**「現場経験」と「構造への理解」**にあります。
- 「どこまで壁が取れるのか」
- 「撤去後の柱はどうデザインで隠すか」
- 「壁がなくなった後のゾーニング(空間の使い分け)はどうするか」
これらはすべて、図面と現場の両方を知る専門家の知恵が必要です。
間取り変更に伴う壁の撤去、そしてその後の理想の空間づくりは、現場たたき上げのプロに安心してお任せください。
私たちが、あなたの「使いにくい」を「心地いい」に変えるお手伝いをいたします。
さあ、あなたの理想の暮らしを、一歩前進させませんか? まずは、お気軽にご相談ください。
♪和室との間仕切り壁を解体して広々リビングへ!浜松市でマンションリフォームをお考えの方へ
掛川市の戸建住宅・中古住宅・中古物件購入に伴うこだわりのリフォーム施工事例
↑写真小さいですが梁補強で間仕切り壁を撤去した戸建て住宅施工例です↑

- POSTED:2025.10.03 Friday
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